ではアキラとの出会いについて書いていきます。
「旅・・?」
「あぁ・・俺はまだ大阪を出た事が無かったん
や、せやから若い内に色んな所を旅して見聞
を広めようと思ってな」
「へぇ~、凄いな・・アキラは今いくつなん?」
「ん?俺は今年で21やで」
「21!?じゃあ俺と一緒やん!」
「ホンマか??カイは俺よりえらい年上に見え
たけどな~」
(そりゃこっちのセリフだ・・どこにこんないか
つい21がおんねん・・)
「奇遇な事もあるもんやな~」
「カイはこの後時間あるんか??」
「ああ・・あるよ」
「よし!ほなちょっと飲みにでも行こうや、嫌と
は言わせへんで」
「はは、望む所や(笑)」
2人は居酒屋へ向かう・・
つい10分前までは何の接点も無かった昭和54
年組・・
道行く人もまさかこの仲の良さそうな関西弁の2人
がさっき出会ったばかりの友達とは想像だにしない
だろう
見慣れた同じ道、同じ景色のはずなのに一人で歩
くそれとは全く違ったものに見えるのだから不思
議なものだ・・
街を彩るネオンはまるで俺の心を表しているかの
ように闇を明るく照らしていた
俺はこの不思議な魅力を持った男・・アキラとは
何となくこの先長い付き合いになる予感がしてい
たような気がする
・・もっともそれに気づくのはもう少し先の話で
はあるのだが・・
「カンパ~イ!!」
二人はビールを片手に乾杯を交わす・・
「クゥ~美味いなぁ」
「いや~しかし電車でのカイの最初のセリフは
ビビったな~」
「何の事や・・?」
「何俺の女に手ぇ出してくれとんのや!ってか、
俺の女なんてよう言うたもんやで、全然知らん
お嬢ちゃんやったのに(笑)」
「いや、あぁ言うた方が相手もビビるかなと思っ
てな・・」
「なるほどな~、まぁでも惜しい事したな、上手
く行けばお嬢ちゃんと仲良くなれたかも知れん
のに(笑)」
「いや~俺は女子高生みたいな子供には興味無い
よ・・制服だけは可愛いけどな(笑)」
「確かにそれは言える」
「ハハハ(二人爆笑)」
「カイは今は何やってるんや?プータローか?」
「あぁ、今の所はそうやな・・これからお店を開こ
うとは思ってるんやけど・・」
「店!?何や、怪しい店でもやるんか??」
「何で怪しい店やねん(笑)」
「いや~何となくカイは真っ当な道を歩いてない
気がしてな」
「どんな何となくやねん(汗)」
「どんな店をやるんや?」
「あぁ、麻雀の店をやろうと思ってな・・と言って
もお金を賭けない、タバコも酒も無しの店なんや」
「へ~、そら健康的な店やな~」
「でもなかなか物件が見つからへんねん・・若いと
思ってまともに紹介もしてくれへんわ」
「そうなんか・・でもその若さで店をやろうっちゅ
うのはやるもんやな~」
「いやそんな事あらへんよ、俺には学もあらへんし
他の選択肢が無いからな・・それに元々俺はサラ
リーマンがあんま好きやないからな」
「ほ~、何でや?」
「俺は頑張ったら頑張っただけお金が貰える方が
良いねん、サラリーマンやとある程度年数かけ
ないと給料も上がらんやろ・・それに・・」
「それに・・?」
「上下関係とかあるし、楽しんで仕事が出来ない
と思うんや」
「なるほどな~、まぁ確かに仕事は楽しくないと
意味無いからな、俺も同感やわ」
「アキラは見聞を広めるために旅をしてるって言っ
てたけど・・大学は行ってへんのか?」
「あぁ一応行ってるよ、今は休みやからな」
「あ、そうか・・将来は何になるん?」
「そうやな・・具体的な仕事は決めてへんけど俺に
は夢があるんや」
「夢・・?」
「あぁ、俺の夢はな・・」
後編へ続く・・
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